初めて生ビールを飲んで美味しいと思った体験談

私の父親はお酒が全く飲めない人で、私は20歳を過ぎるまでお酒を殆ど飲んだことがありませんでした。
我が家では唯一お正月にポートワインをおちょこに一杯飲むことだけ許されていたのです。
父はお酒に弱いだけではなく女性が外でお酒を飲むことに関して良い顔をしない人でした。

そんな私がお酒の味を知ったのは、大学のサークルに入ってからでした。
私はロックが好きで大学のサークルでバンド活動をしていて、学祭の打ち上げに参加した時に初めて水割りなるものを飲みました。
その時は別に美味しいと思わなかったのですが、当時はチューハイなどというのものはなく、ビールは割高だったので、水割りが主流だったのです。

新卒で会社に入社してからも、飲み会といえば水割りでした。
カラオケボックスなどというものはなかったので、スナックのカラオケで水割りを飲んで酔っ払うことを覚えたのです。
私にとって青春時代は「水割り」と共に過ごしたと言って良いでしょう。

仕事を始めて5年が過ぎ、会社でも段々と責任のある仕事を任せて貰える様になりました。
関連会社との決算を引き受ける様になり、仕事が終わって会社の会議室で開かれた「懇親会」に出席できる様になったのです。
その際に会場にあったのは、水割りではなく樽に入った生ビールでした。
私は乾杯の時に初めて樽生ビールを飲んだのですが、その美味しさで目が回りそうになりました。
水割りのアルコール臭さと水臭さとは違い、生ビールの香りの良いこと、のどごしの良いことで、ショックを受けたのです。
こんなにおいしいお酒が世の中にあるとは知らず、随分人生損をしてきたと一瞬のうちに感じました。

グラスに一杯飲んで、「是非もう一杯飲みたい!」そう思った時に、上司から「女の子は飲んでいないでお酌して!」と言われました。
そこで私は後ろ髪を引かれる様にテーブルを離れてお酌をして回りました。
1周回って戻ってきた時には、樽生ビールはすっかりカラになっていて、ほろ酔い気分の上司や関連会社の人達に水割りを作る係にされました。
そして「仕方がないから水割りでも飲んでいくか」と思った瞬間、「女の子、後片付けよろしく」と言われてしまったのです。

私はそれ以降生ビールの虜になり、飲み会に出席するとまず生ビールを注文する様になりました。
しかしあれ程美味しい生ビールに滅多にお目にはかかっていません。
それはきっとあの日、あの一杯だけで終わったせいもあるのだと思います。
あの時酔っぱらう程飲んでいればこんなにビール好きにはならなかったでしょう。
今日も私は友人と生ビールを飲みに出かけます。

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